ものわすれブログ

自分の役割(10)介護するこころが追いつめられないように

11/20/2016

 自分が妻の母親の介護家族として過ごした27年、母の末期がんに付き合いながら、彼女の人生を全うすることに協力した3年半(その時にはすでに妻は体調を崩して介護者として協力できませんでした)、そして妻を介護する2年半、先日も妻の夕食の買い出しのために午後の診療を終えて商店街に買い出しに行く途中に出会った幼馴染が「一生も大変なんやな、人づてに聞いた」と心配してくれました。

 

 これまでに認知症をはじめとする高齢者虐待を防ぐことを、自分の臨床でも研究でも中心としてきました。残念ながら最近では来院患者さんがあまりにも多くなりすぎて、念入りな対応ができなくなってしまいましたが・・・・。

 これまでの虐待への支援では、ボクはいつも「ソフトランディング」を手助けする役目でした。ご存知のように不適切で虐待とおぼしき行為を発見した場合、高齢者虐待の防止および養護者の支援に関する法律(いわゆる高齢者虐待防止法)により、当事者の命にかかわるかどうかを見極め、われわれには通報の義務があります。虐待の中には認知症の人の家族が悪意をもって行うものも多く見られました。

 その一方でボクが一貫して担当してきたのは、ソフトランディングなのです。なぜならそういった支援が必要なのは、悪意などなく「何とか自分が介護して支えよう」と認知症になった親や家族を介護している人々です。あまりにも熱心で他人に介護をゆだねることができない傾向を持つ介護者が、いつの間にか介護に追いつめられ、認知症の行動心理症状によって振り回された結果、ふと気が付くと不適切な行為に及んでしまい、「しまった」と気づいた時には大変な事態に陥ってしまっていた、という展開が日々の臨床では多かったからです。

 そのような場合、不適切な行為をしてしまう介護者に対して、「介護者が追いつめられるとこのような事態になる」などと適切な情報を伝え、決して介護者を責めるのではなく、介護者とともに不適切行為が起きる事態を回避していくのがボクの専門である「心理教育アプローチ」の特徴だからです。

 

 適切な情報提供とともにわれわれが傍らに立ち、決して孤立しないように介護者をサポートできてこそ、不適切行為が起きるのを防ぐことができます。ところがそのようなソフトな関わりでは間に合わないこともあります。放置するのはもちろんダメですが、それ以外にも対応に時間がかかりすぎると当事者が大きなケガをすることや、時には命にかかわる可能性があるときなどは、措置による本人の保護が大切であることは疑う余地もありません。

 でも、「不適切行為はいけない」と説いていても、何かの瞬間に感情の吹き出しを押さえられなくなることもあります。追いつめられそうな介護者がこのブログを読んでくれているとすれば、その苦悩に限りない共感を示したいと思います。そのような人に、再確認しましょう。振り上げたこぶしを下ろすことは、あなたの「もっとも勇気ある行為」だと気づいてくださいね。

 

 

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