2017年4月から朝日新聞デジタル版・アピタルで

「認知症と生きるには」というコラムを執筆中です。

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院長ブログ(125回)病的体験が癒えるとき

その人に会ったのは4年ほど前のことでした。担当することになったグループホームの入居者として。 彼女は若くして認知症になったため、夫や家族とは住むことができなくなって入居したのでした。若くて体力もあり、高齢者が多くを占めるグループホームでは力を持て余していました。グループホームは対象が「認知症」となっていますから、当然、ほかの入居者も病と向き合いながら生活している仲間です。しかし年齢の差は思う以上に生活のずれを起こして、入居者同士の支え合いの体制にはなっていませんでした。 そんな彼女の支えとなるべく、グループホームの隣に認知症カフェを作ってくれたのは、同じ女性として彼女に限りない共感を持つグループホームの管理者でした。それ以来、コーヒーを入れてくれる彼女には「やりがいのある仕事」ができました。彼女自身の努力もあり、グループホームの職員が一体となって彼女のサポートを続けたおかげで、それから2年ほどは認知症が進まず、安定した生活が永遠に続くかと思えました。 しかし状況は少しずつ変わりました。1年ほど前から不安感と共に、これまでにはなかった感覚が彼女をとらえるようになりました。誰かがいるような感覚、だれもいないのに自分のそばに誰かがいて、しかもその人が自分に何かをしようとしているような、不思議な感覚でした。音や光に対して鋭敏になるため、「まぶしさ」や「騒がしさ」を避けて、自室にこもりがちになり、スタッフはケアが足りないために彼女が交流を避けるようになったのではないかと心配しました。 診察の結果、これまで影を潜めていた行動・心理症状による状態変化になっていたことがわかりました。よく「ケア