- 2020年2月11日
院長ブログ(125回)病的体験が癒えるとき
その人に会ったのは4年ほど前のことでした。担当することになったグループホームの入居者として。 彼女は若くして認知症になったため、夫や家族とは住むことができなくなって入居したのでした。若くて体力もあり、高齢者が多くを占めるグループホームでは力を持て余していました。グループホームは対象が「認知症」となっていますから、当然、ほかの入居者も病と向き合いながら生活している仲間です。しかし年齢の差は思う以上に生活のずれを起こして、入居者同士の支え合いの体制にはなっていませんでした。 そんな彼女の支えとなるべく、グループホームの隣に認知症カフェを作ってくれたのは、同じ女性として彼女に限りない共感を持つグループホームの管理者でした。それ以来、コーヒーを入れてくれる彼女には「やりがいのある仕事」ができました。彼女自身の努力もあり、グループホームの職員が一体となって彼女のサポートを続けたおかげで、それから2年ほどは認知症が進まず、安定した生活が永遠に続くかと思えました。 しかし状況は少しずつ変わりました。1年ほど前から不安感と共に、これまでにはなかった感覚が彼女をと
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