ものわすれブログ

これからも(4)会えない時にも

12/05/2019

 ことしも12月、あっという間に過ぎた災害の年、気候の変動で多くの患者さんを見送り、多くの家族が介護に疲弊した年でした。あと1か月、年が変わると29年を迎えようとする開業医の生活のなかで、診療所に来てくれる人がさまざまな事情で来院できなくなることもたくさんありました。

 

 昨日も他院からの紹介で来てくれていた患者さんと同行するご家族が引っ越しをすることになり、それも関西から関東という遠距離の引っ越しをするため、自動車が使えない近くの家族が歩いて通院できる医療機関への転院をすることになりました。

 

 これまで担当してきた8150人の認知症当事者のカルテの多くが残っています。すでに見送った人の分も、20年以上の長きにわたって来院してくれた人の分も、できるだけ残すようにしています。さすがに検査用紙や画像など、すべてを残すことはできませんが、できる限り、たとえ時間がたっても再開した人との思い出や診療記録が出てくるように保存しています。

 

 先日もお便りをいただいたのですが、かつて当院に来院しておられたお母さんが、今は別の施設に入居して、そこで穏やかな生活を送っていると娘さんから手紙をいただきました。もし、また必要な時があれば、これまでにかかわらせていただいた医者として、何らかのかかわりや情報提供を惜しまずに協力したいと思います。

 

 中には新任の行政担当者から、「あなたがかかっていると言っている松本診療所って、医療としては何もしていないから、医者を替えたらいいんじゃないですか」と言われる患者さんがいます。でも、医者としてかかわっているということの中に「たとえ、今ここでは積極的に『治療』していなくても、何かの際には積極的にかかわれるように見守っている」というかかわりがあります。かつて精神療法家のサリバンが残した言葉である「関与しながらの観察」の姿勢です。

 

 これまでに関わらせていただいた方やご家族のみなさん、遠くに行かれた人やご本人が入所・入院して当院の外来には来られなくなった人も、今は行ってあげられなくなったニューヨーク日系人会のみなさん、ボクのこころは決して離れてはいません。妻の介護者である自分を受け入れて、日々、大阪の診療所と京都の自宅を行き来しているだけの生活ですが、それでもボクは仲間です。困った時には思い浮かべてください。

 

 最後に忘れてはならないのが、この1年に長い介護をし終えて当事者を見送られたご家族へのメッセージです。中には20年以上、担当させていただいた方がおられました。その人を見送ってもご家族のみなさんとボクの長い関係が切れることはありません。診療所で出合うことはなくなっても、これからも仲間で居続けますからね。

 

 

Share on Facebook
Share on Twitter
Please reload

院長ブログ
Blogs
​最近の記事
Please reload

アーカイブ
Please reload

タグ
Please reload