新しい試み(9)愛について
- 松本一生
- 2019年6月16日
- 読了時間: 2分
ここしばらくの間、ずっと「愛について」考えています。「うわ~、さぶ(寒い)、サブいぼ出るわ~(鳥肌がたつの大阪版)なんて思わないでください。患者さんや知り合いの中でここ数か月の間に本当の愛とはどういうものかを考えさせられるいくつものことがあったからです。
恋しい気持ちやワクワクドキドキを伴う恋愛とは違って、愛というものは自分の所有を敢えて望まないものです。たとえ欲しくても、相手のことを考えたときに、自分は二の次で良いということなのかもしれません。自己満足や自分を前面に出した行為ではなく、敢えて自分を抑えることも大切なのでしょう。
多くの介護職が無意識のうちに「愛ある行動」をしていることに、この歳になって気づきました。もう少し若い頃は介護職や看護職、家族から「先生、認知症ケアって愛ですよね」と言われた時に、ボクの心の中では「そんな情緒過剰な考え方はするなョ、もっと客観的にならないと情感が理性を覆いつくしてしまうぞ」と思っていたボクが、少し人生の経験を積んだのかもしれません。でも、やはり客観的で情緒過剰にならないことも必要です。だって愛の行為をするなら、たとえその人に拒絶されたとしても、自分の理性を失わないようにしながら、自己利益ではなく他者のことを優先することが求められるのですから。
6月12日が過ぎ、母を見送ってから8年が経過しました。マザコンで言っているのではなく、母はうちの診療所の経済的な面の要でもありましたので、何とか診療所を8年間守ってきたことに感慨無量なのです。
7月が来ると妻の介護も5年が過ぎて6年目になります。相変わらず身体的には元気で、少々のパーキンソン症候群と強迫性は続いていますが、それでも娘の助けをもらって、ボクは6月5日の夜に仙台に行き、6日の朝から老年学会合同シンポジウムに出ることができました。実に1年3か月ぶりの外泊です。
こうして日常を粛々と診療し、妻のケアをすることも愛に基づいているのかなぁ、ボクは熱心な介護者ではありません。熱心な臨床医でもありません(あ、またブログでこんなこと書いた)。ゆっくりじっくり、それでもあきらめることなく、人生の足跡を残していきたいと思っています。
6月20日に新潟で開催される日本精神神経学会に行ってきます。こちらはいつもの「日帰り」です。帰ってきて買い出しに行かなくてもいいように、少し前もって買っておこう。子育てをしながら研究している先生たちの気持ちに共感できます~。
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