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ものわすれブログ

生きる場所(4)手帳!大感謝!!


 新年早々、大阪の万博で認知症のテーマ館、などと大きなことを書いていたら、足元をすくわれてしまいました。医者になってから毎年、ずっと使い続けてきた手帳を四条河原町の地下にある銀行のATMで落としたらしいのです。自宅に帰ってから手帳がないことに気づきました。

 いつも財布と手帳は再三確認してきたつもりなのに、年明け早々、何ということでしょう。皆さんもそうだと思いますが、ボクもこの先1年のスケジュールが入り、かなり豊富な情報を書き込んでいましたので、心中も顔も真っ青です。何よりもこれほど大事なものを落としたという事実にがっくり来てしまいました。

 若い人たちであれば、「こういうことが起きないように」ではなく、こういったミスは起きるものだと認識して、携帯を使ってクラウドでスケジュール管理をしているはずです。ボクも何度かその誘惑にとらわれかけましたが、データが一瞬にして消える恐怖から紙媒体を手放すことができませんでした。

 それが昨夜のことです。いざ、落としたことを確認すると、ボクの後悔が始まりました。「クラウドにしておけばよかった。核攻撃で電磁波でもない限り消えなかったはずなのに」と悔やみながら、それでも諦めきれずに四条河原町まで歩いていき、ATMの機械を操作しているおっちゃんの後ろから、操作画面を眺めている怪しい姿が防犯カメラに残ったことでしょう。

 もうこうなれば諦めて気を取り直すしかありません。帰り道に「丸善」の本屋さんに寄って、全く同じ手帳を買い、スケジュールを書き込みましたが、手帳にしかメモしていなかった情報を回復することはできずにいました。

 今日は水曜日で午前中の診療だけ、その後の往診もないために一息つこうとしたところ、息子から電話がかかってきました。事務長の息子は水曜日が休みです。何かあったのかと思って携帯をとったところ、「おっさん(息子はボクをそう呼びます)、ケーサツから電話あったで」とのこと。その一言で「うわ~、息子が逮捕されたか」と訳の分からない混乱をしていると「落とし物の手帳が中京(なかぎょう)警察署に届いている」と聞かされました。

 信じられません。手帳には住所や名前を書いていなくて、手掛かりは唯一、息子の携帯番号を書いていたため、それを目指して警察から連絡をいただいたのでした。

 昨晩、四条から戻って手帳の紛失を知らせた娘が「それなら警察に連絡を」と言われたとき、そこまでの対応はできないだろうと思った自分が恥ずかしいです。

 それ以上に感謝しているのは、手帳を拾ってくれた方に、です。名前も連絡先も書いていない手帳をわざわざ警察に届けてくださった方、本当にありがとうございます。警察署ではお名前も連絡先も残っていなくて、お礼ができませんでしたが、この場をお借りしてお礼申し上げます。

 「今年は新春から何という不幸」と嘆いていたら、手帳が戻ってきて「人生で最高の年の初め」になりました。やさしいこころのその人に今年をささげたいと思います。

 最後に物忘れに悩むおとうさんやおかあさん、介護職や医療福祉関係者のみなさん、自分のうっかりで自信をなくしているなら、ボクも立派に仲間ですョ。


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