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ものわすれブログ

日々を生きる(6)腰との勝負、熱湯との闘い


 23日の日曜日、石川県加賀市の、認知症の人と家族のための「幸の会(さちのかい)」の総会記念講演に行ってきました。あいにくの雨と蒸し暑さのなか、会員の皆さんと市民の方々にお越しいただき、認知症を地域で支えるための話をしました。「いつも日帰り講演なんです。妻の夕食までに戻らなければならなくて…」と、弁明をくり返す、はなはだ勝手な講師を受け入れてくださって本当にありがとうございました

 2002年ごろから石川県とご縁があり、当時の保健所から何度も認知症の市民向け講演会の講師に呼んでいただきました。金沢まで大阪・京都からサンダーバード(特急列車)に乗り、2時間半かけて金沢に到着、そこから高速バスに乗り継いで能登半島の先まで出かけたものでした。今回も「あ、加賀温泉駅なら近いからOKですョ。」と特急に乗ったまでは良かったのですが、あのころとは腰が違っていました。痛む腰と戦いながら往復5時間弱でしたが、この文章を書いている水曜日の朝、腰がガタガタです。

 日帰りしなければならないから、との理由で飛行機での移動ができる範囲の講演に限定していたのは、無意識の自分が腰への負担を考え、日帰りで往復しても大丈夫な範囲に限定していたようです。

 加賀温泉駅といえばお風呂ですが、実はボクのこれまでの2000回を超える講演会で、観光地には数か所を除いて行ったことがありません。かの地のおいしいものを口にすることなく、駅もしくは飛行場と講演会場しか知りません。これは妻の体調が悪くなかった頃から続いていて、何もケアのせいではありません。観光よりもそこにいる人たちに出会うことをボクは大切にしているのだと改めて思いました。

 過日、札幌まで行ったとき、「あ、新千歳空港には温泉が出ていて、お風呂がある!」と思いだしました。新千歳空港内にある温泉入浴施設です。いつもなら便の出発15分前に空港にすべり込んでそのまま機内に飛び込んでいくのですが、その日は何と1時間も搭乗までにあるじゃないですか。「一度、温泉に入ってみよう」と思いたちました。

 しかし普段の習慣とは恐ろしいものです。自宅でもシャワー派でほとんど湯につかったことがないうえに、いつも38~39℃のシャワー浴です。ちょっと熱めの湯船につかった途端に暑さから全身の筋肉がこわばり5秒で飛び出してしまい、全身がガチガチ。長年の「温泉にゆっくりつかりたい」との夢は幻想だったことがわかりました。

 こんなタイプなので認知症の人の入浴について聞かれても、熱い湯につかること、肩までつかると押しのけた体積の分だけ体に圧が加わることで心臓にも負担が加わることなど、「気を付けて入浴してください」とアドバイスしつづける自分がいます。

 例年、認知症の人が入浴中の事故にあうことが少なからずありますので…。

○ぬるめのお湯に、○心臓に負担をかけず、○あまり長湯をせず、○出たらビールをぐ~っとではなく、電解質も考えた水分補給をすること。

 ときどき人に聞かれます。

「先生は熱い湯にゆっくりつかりたいと思いませんか」はい、ぬるめの温泉なら、ゆっくりと。

熱くて5秒で飛び出す入浴はダメですけどね。


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