ものわすれブログ

日々を生きる(2)雨、氾濫、天候

07/04/2017

 九州の大雨の中にいる友へ。

 

 先の日曜日は北海道での日帰り講演でした。ボクは知らずに行ったのですが、前日に震度5の大きな地震が北海道や九州で起きていました。

 4年ほど前でしたか、夏に出張でローマに行っていた時のことです。仕事を終えてホテルに戻り、ホッとしてテレビをつけたときでした。ローマ法王フランチェスコの説教(法話)が流れたニュース画面に次の瞬間映ったのは、信じられないほどの濁流が嵐山を襲っている映像でした。かの地から心配したものです。なぜならその前年には大阪の診療所に短時間で大雨が降り、行き場のなくなった大量の雨水が診療所屋上を溢れて、最上階の5階(ボクの研究室)や4階、3階まで水浸しになった経験をしていましたから。

 近年、災害で被害にあう人は増え、災害の規模も年を追うごとに激しさを増していっているように感じます。自分の記憶に残るもので最も古いのは確か第2室戸台風、家族総出になって暴風でしなるガラス窓を押さえ(当時の自宅には雨戸がありませんでした)、一方では少しずつ水かさを増してくる床下浸水が、やがて畳を越してしまうのではないかと心配した幼い日の記憶があります。その後も長崎水害、阪神淡路大震災、中越や能登地震、そして東日本大震災や豪雨、北海道の台風被害、熊本地震(たくさんあり過ぎて書ききれません)、そして今回の九州での大雨です。毎年、どこかで誰かが自然の猛威に翻弄されています。

 

 阪神大震災や東日本大震災の時にはできるだけ早い段階で動きました。阪神の時には若かったこともあり、しかも神戸や西宮から患者さんが来ておられたため、1月19日にはJRの線路を歩いて三宮で薬を待つ患者さんに会いました。

 時は流れ多くの経験から支援の在り方や緊急時の医療のあり方は変わりました。あの時より整備され、混乱なく支援が行われるようになったと思います。でも、その分、災害も激しくなった気もします。「かつて経験したことがないような」ものが何度も襲い掛かってくるときに、私たちに求められるのは…「共にいる」という連帯感でしょう。

 

 認知症の人や家族をテーマにしてこの文を書いていますが、災害や大規模な困難と立ち向かうときには同じテーマがこころに浮かんできます。

 たとえば避難所にいる認知症の人には、これまで何度も伝えてきました。「突然の環境変化では認知症の人の状態が変わりやすい。避難所で夜中明るい電灯の下にいると、昼夜逆転が起こりやすくなるため、たとえ避難所が明るくても休む時間になると認知症のひとの目から入る光がないようにして(怖がらない限り目を覆って)、昼夜逆転、せん妄などが起きないように努めること、避難所で水分が取りづらい時などは口腔ケアが思うようにできず、口の中の雑菌が増えるため、誤嚥性肺炎に気を付けること(食事の時だけではなく、普段の口の中の雑菌が唾液といっしょに気づかないうちに気管に垂れ込んでしまうことが危険です)、認知症の人は周囲の音やざわついた中では落ち着きがなくなりやすいので、避難所での場所取りも大切な要因だと家族が認識すること・・・・」など、遠方からアドバイスすると次々にポイントが浮かんできます。

 

 でもね、これって認知症の人に対するアドバイスだけじゃないですよね。ボクらはみな、大変な事態が起きたとき、いつの間にか自分の事だけや家族を優先して行動してしまいます。当たり前の鼓動である一方で、ほんの少し、「自分も大事、だけどあの人にも目を注ぐ」と心がけるだけでずいぶんと集団での生活に「救い」の部分が出てくることも事実です。妊娠中のおかあさん、小さな子ども、病気やハンディキャップのあるひとを思いやる連帯の気持ちがサバイバルには欠かせません。

 

 ボクを講演に呼んで温かく迎えてくれた福岡、大牟田や宇佐、熊本のなかまが大変な脅威にさらされています。全国をめぐり多くの友人を得ることができたボクは、一方ではどこに災害が起きてもそれは他人ごとではなく、「友人の危機」でもあります。

 大阪や京都は雨が降りましたが、今のところは大きな打撃は受けていません。でもね、誰にでも起きる可能性があるのが災害や病気なのだと思います。何を直接してあげることができなかったとしても、今、災害や苦しみに向き合っているひとには、限りない共感を持って事態を見守っているひとびとがいることを忘れないでください。

 あなたは見捨てられることはありません。誰も気にしていないのではありません。みんなが見守っています。あなたの苦しみを分け取りたいと願いながら、みんなが新しい一日を始めようとしています。

 

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