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日々のこと(6)ギリギリ、セーフ

  • 執筆者の写真: 松本一生
    松本一生
  • 2017年2月5日
  • 読了時間: 3分

 2月1日は午前4時の起床でした。関西空港から東京へ、その後は新宿のホテルで1日行われる、精神保健指定医の更新研修を受けてきました。ボクは精神科医5年に1度、この厚労省から「預かった」資格をもとに精神的な課題を持つ病気の人や家族の人権を守る研修を受けます。

 日本精神神経学会や日本老年精神医学会からも指導医・専門医をいただきましたが、精神保健指定医とは専門医としての「資格」よりも社会に対して精神科医が「公務員」的な立場で人権擁護すること、治療のためその人の拘束などを判断をする役割を持っています。厚生労働省の「拘束ゼロ」の目標のもと、精神保健指定医は患者さんの人権を守り保護する役割があります。

 その指定医に初めてなったのが20年前、精神科医として5年目のことでした。それから今回で4回目の更新をしました。そして今回です。各地で更新研修が行われますが、昨年は妻の介護もあってスケジュールが合わなくて、結局受けることができたのは東京の研修会でした。

 介護を始めた2年半前と比べると妻の不安がやや安定したと思ったため、昨年12月初めに「指定医の研修に東京まで行き、夜には帰る。」と告げました。妻も歯科医師、研修には理解があると思ったからです。しかしその判断は早過ぎたようで妻の不安が昂じてしまいました。

 たとえ北海道や沖縄の日帰り講演でも、普段なら何げない顔で「ちょっと講演に出て夕食時には帰る」と言うのに、あえて事実をそのまま口にしたために困難を自ら招いてしまいました。

 関西空港から羽田に降り立ったのち新宿まで行き、丸1日(夕方5時半前)までの研修を終、再び羽田から大阪(伊丹空港)まで戻れたのは奇跡です。ひとつでも歯車がかみ合わなければ分単位のスケジュールで組み立てた今回の研修はとん挫していたでしょう。夕刻が近づくにつれ、講義を聞いていても心は飛行機の中で走っているような気持ちで、それでも何とか空港まで戻り、あとは自宅(前にも書いたように、妻の介護が京都の自宅ではできず、大阪の診療所兼旧実家)までタクシーで「ギリギリでセーフ」にするだけです。

 ところが伊丹空港からタクシーに乗り、阪神高速の森小路で高速を降りるようにお願いしていた最後の瞬間に、そのアクシデントは起こりました。運転手さんが出口を行き過ぎてしまい、次の出口はかなり先です。汗びっしょりになって謝る運転手さんに「気にしないでください。妻の介護は帰りさえすれば何とかできますから」と彼が絶望しないように励ましながら(なんで客が運転手さんにここまで気を使うのかと思いつつ)、午後8時半に無事、戻りました。

そのとたん、妻が「お風呂のお湯入れて~」

 やれやれ、今日もギリ、セーフでした。

 カトリックでは私たちを「神の小羊」(かみのこひつじ)と表します。人生に迷えるわれわれは等しく神に導いてもらう小羊という意味です。でも、この日のボクは「かみのこひつじ」ではなく、カミさんの小執事(こしつじ)になった気分でした~。


 
 
 

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