認知症ケア・新たな旅立ち
今回のブログも前回に続いて日本認知症ケア学会、第24回大会(令和5年6月3日、4日 国立京都国際会館で開催)について書きます。
この大会、ここ3年間は各大会長が無念の思いで現地開催を断念してきました。新型コロナ感染のために、多くの医療関係者、介護関係者が集う大会で多くの人が出合い、感染が広がることを恐れたためです。3年間の空白は、それまで年に一度は大会で出合ってお互いの努力や状況を励まし合ってきた多くの人々が出合う機会を奪うことになりました。それでも当初は戸惑いながらも、パソコン同士の会議やミーティングをするZoomやTeamsに慣れて、少しずつ遠隔地にいてもお互いがつながる世界ができ始めました。しかし、みなさんも感じたのではないでしょうか。お互いが画面を通してつながることはわかったけれど、やはり目の前で会ってお互いに話をする「現地での再会」に比べると、画面での再会には情緒的な違いがあることに、ボクは気づきました。
介護や福祉、医療の世界にいるわれわれにとって、コロナ禍は新たな命題を作り出しました。これまで「よりそうケア」や医療を求めてきた世界が、突然、未知の感染症のために物理的な距離を考え、面会の制限やリハビリテーションの中止、そして他者とのかかわりについて、今一度考え直さなければなりませんでした。
その3年間を経て、私たちは改めて認知症に対するケア・福祉・医療はどうあるべきかという答えを求められています。今大会のテーマを「認知症ケア、新たな旅立ち」としたのも、この先の認知症への取り組みについて考えるためです。
今回は感染が再び拡大する可能性を含みながらも、あえて現地開催することにしました。もちろん、この3年間のノウハウで、感染を広げないために細心の注意をしたうえでの開催です。この学会は会員も28000人ほどに及び、多くが介護、福祉、医療、行政など認知症をキ-ワードに多くの職種が一堂に会します。そのような大会から感染拡大は防ぎたいとの思いもありましたが、すべての責任はボクがとることにして(笑い事ではないっす!)現地開催を再開することにしました。旧知の仲間が、そして新しい仲間がこの大会によって出会うことの大切さを感じ、この先の新しい時代の幕開けになることを願っています。
同時にこれまで3年間のオンライン大会で目覚ましい効果があったことにも気づきました。ケアの仕事をしているため、容易にシフト調整ができず、行きたくてもいけなかった多くの人のために、あるいは遠隔地から大きな大会会場がある大都市まで旅費を負担して参加することが難しかった人々のために、オンラインで大会の様子を見て学ぶ機会ができたことで、より多くの参加者が望めるようになったことです。
そこで今回は現地開催+オンライン参加の2本立てで実施することにしました。感染防止も考えて、少しゆとりのある会場設定とオンラインの参加です。会場でしか聞けないプログラムがある一方で、オンラインだけの特別なプログラムも入れました。どちらにも参加していただければ、より「お得感があるように」大阪生まれの京都人大会長としては知恵を絞った形です。
プログラムもほとんど組み終わりました。シンポジウムや特別企画(長谷川和夫先生に捧げるシンポジウム企画)など、家族会シンポジウムや口腔に特化したシンポジウム、そしてコロナ禍を生き延びた介護職、福祉職のシンポジウムなど、これまでの大会よりも多彩な内容にすることができました。
し、しかし、大変なこともわかりました。会場も借りてゆとりある設定にし、しかもオンラインの撮影や配信も行うとすれば、予想していたよりも莫大な経費が掛かること、です。失敗すると大赤字、ボクは自慢ではありませんが、大阪生まれにしては経営が下手な開業医なので、大会で大赤字にするわけにはいきません。みなさんのご参加がボクを救ってくれます(笑)。
いえいえ、そのようなことではなく、参加されたどの人にも参考になる認知症ケア学会の大会を目指しています。あと80日余り、大会に向けてボクは仲間とともに全力で準備を楽しんでいます!!
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