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ものわすれブログ

嵐の認知症ケア学会

 6月3日、4日の第24回日本認知症ケア学会(京都大会:国立京都国際会館)を終えました。直前まで台風2号が先島諸島、沖縄本島、奄美地方に暴風雨をもたらしていましたので、何とか直撃は避けてくれるように願っていましたが、その台風の影響を受けた梅雨前線が線状降水帯となって極端な雨を日本列島に降らせ、まさか6月の初めにこの事態を予想していなかっただけに、対応に追われました。大会前日の2日には大雨、その日は理事会や社員総会を終え、3日(土)の朝にはウソのような青空のもと、京都国際会館に向かいました。


 「さあ、これでボクのこれまでの集大成となる大会長を務めるぞ!」と思って会場に行きましたが、あれ?これまでの大会と比べても人影がまばらです。大会長が一開業医なので、ボクの人気がないのは仕方がないことですが、コロナ禍の3年間、ずっとオンライン大会でしたので、久しぶりの京都大会(しかも京都ですよ、京都!)なのにこの人影の少なさは何なのかと思って受付に行き、衝撃的な事実を知らされました。

 何と前日からの線状降水帯で関東、中部、関西、いたるところで大雨となり、東京からの新幹線も3日(土曜日)の午前中は動きません。当然ながら京都の会場まで来てくれるはずのみなさんも来られず、大会で講演してくれるはずの講師の先生方の多くも来られないことがわかりました。

 以前からの旧友(と、ボクは勝手に思っていますが)の先生は、東京からの新幹線が動かないことを知り、金沢周りで福井から京都に来ようとまでしてくれましたが、その行程も電車が止まり、どうしようもないと連絡してくれました。

 急きょ、会場に来られない講師の先生の代役を他の人にお願いすること、シンポジウムで欠員ができるために他のシンポジストにお話を長くしてもらうことなど、まさに驚天動地の大会運営でした。大会実行委員長の花園大学教授、神部先生はじめ実行委員会のみなさんには本当に助けていただきました。ボクの診療所でのパートナー、升山弘子にも、事務局のみなさんにも急な対応をしていただき、支えてもらいました。


 それにしても今回の大会はボクの人生そのもののような気がします。大きな仕事が来て「がんばろう!」と思って何年かを過ごし、やっとその結果が出る時になると、何か大きな問題が起きて、一筋縄ではいかない人生の連続でした。でも、そのような「大変なこと」が起きるたびに、知り合いや友人が支えてくれます。「自分はこうして生かされているのだな」と実感する人生ですが、まさに今回はそのような人生の集大成でした。


 大会長講演の時に、ボクがこれまで座右の銘にしてきたビクトール・フランクルの言葉を引用しました。強制収容所でいつ殺されるかもしれない日を送っていた時にも、彼はその経験を記憶し、後に「あなたがいるだけでこの世界は意味を持つ」という言葉を残してくれました。また、彼の著作には「それでも人生にイエスと言う」という名著があります。人生に絶望的なことがあっても、それでも与えられた運命を肯定的にとらえるこの言葉は、認知症という困難な病気と向き合う人、その家族、そして支える人の区別なく、みんなが人生に対して持ち続けたいひと言です。


 コロナ禍を経験し、人との距離を保つことで感染拡大を防ごうとしたこの3年、当事者、家族でもそうだったと思いますが、われわれ対人援助の仕事につくものはみな、これまでの「よりそうケア・医療」をコロナ禍のなかで、どう解釈すべきか迷ってきました。「これまでの対応が間違っていたのではないか」と、対人援助の仕事から遠ざかった人も多くいました。


 そんなわれわれが3年間のオンラインを経て4年ぶりに再び京都(コロナ前の2019年大会も京都でした)に集う機会ができたことを、ボクは大会長としてこころから嬉しく思っていました。そこへこの大雨と大混乱です。でも、この経験こそ認知症という困難な病気と向きあいながら「それでも人生にイエスと言う」ことを決意した当事者、介護家族そしてこのような時代になってなお、人のために人生を捧げる決意をして集まろうとした介護・福祉・医療職のわれわれが「それでも人生にイエスと言う」ことを誓わせてくれる大会になったと思っています。妻を介護するとき、ボクはいつもこの言葉を反芻して生きています。


 本大会は幸いにも2日間の会場だけでなく、9月終わりまでオンラインで学会参加することができます。日本認知症ケア学会会員や認知症ケア専門士だけでなく、一般の参加もできます。この2日には多くの家族会のみなさんも来場してくれました。よろしければ「日本認知症ケア学会」を入力していただき、より多くのみなさまが(9月までの)大会にWEB参加してくださるよう、お願いいたします。




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