ものわすれブログ

医療崩壊と連帯

 3月はじめに「診療所を移転します」と書いてからほぼ2か月、移転通知のブログを多くの皆さんに読んでいただくために新しくしませんでした。しかしそれ以上に大阪でのコロナ感染の大変な状況から日々の臨床が緊張の連続で「書けなかった」ことも事実です。


 ご存知のように大阪のコロナ体制の医療が崩壊しています。重症者になっても中等度や軽症の人が入院している病院のままで継続して療養を受けるしかありません。感染がわかっても入院先の病院がなく、療養するホテルも見つからず、保健所からの連絡がなかなか来ない事態も増えています(ボクは20年ほど保健所の嘱託医でしたので、所員の日々の努力は良く知っています。人手が限界を超えて全く足りないのだと思います)。でも、当事者の立場からすれば(いくら若くて元気な人でも)、連絡がなく不安な夜を過ごすのは何よりも怖いはず。何とかしてあげたい気持ちでいっぱいです。

 施設入所者がコロナ陽性になった場合にも、前記の理由で入院はできないため、在宅医療の先生がその施設でコロナの治療をするといった「ギリギリのところでの」医療が続いています。


 おそらくこの先の「決め手」はいかに早くワクチンを接種できるかにかかっていると思います。接種も担い手がいないため、今回はボクのような(逃げ腰の)医者でさえ、集団接種の会場に出務してこの国難ともいえる状況に少しでも協力したいと思い、5月に大阪市で高齢者に向けた集団接種の会場が設営され次第、出務することにしました。


 うちの診療所は出入り口が2階で、エレベータで出入りすることに加え、40年前の鉄筋コンクリートで換気の具合が思わしくないこと、そして来院される患者さんが認知症のある高齢者であることなどから、ボクは自分のクリニックでは個別のワクチン接種は行わないことにしました。もとより内科医ではないため、通年のインフルエンザワクチンの接種もうちの診療所ではしていません。内科や外科の「かかりつけ医」の先生方に、普段はお任せしているぐらいですから。

 しかし今回は別です。本当に(出務する)医師の人手が足りず、看護師も、もっと足りない状況です。こんな時にこそ私たちがこれまで認知症ケアの世界で大切にしてきた「地域包括ケア」の理念と同じように、みんなが協力して事態を改善させなければなりません。


 今朝も知り合いの介護職から「友人の施設でコロナ陽性が出た。これから初動についてアドバイスし、感染防御の用具も届けてくる」との連絡がありました。その人は今年初めから続く感染との戦いで、施設での陽性者が出ても入院できない環境に耐えながらこれまで困難を乗り越えてきた人です。でも不死身ではありません。状況が少し改善した時に体調を崩して、先日もボクがストレスコントロールについて相談を受けていた、その人なのです。それでも仲間の危機には自分を二の次にし、アドバスするために困難な現場に向かう姿を見て、ボクはそのような友人こそ、この世界を救う光だと思いました。

 ひとり一人は無力な存在です。でも、その無力で(ボクのように)根性が座っていない者でも、友人の姿を見ることで、自分の気持ちを奮い立たせることができます。今こそ連帯の時。介護や医療に携わっている人だけでなく、この世界の同じ時を生きるすべての人々が連帯することで、大阪ではすでに起きている「いのちの選択」を考えることなく、すべての人が等しく平等に生きる権利を持ち続けるために、少しでも多くの人がコロナウイルスの脅威に立ち向かえるよう、ボクも集団ワクチン接種に全力で協力したいと思っています。




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