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介護職の汗と涙

  • 執筆者の写真: 松本一生
    松本一生
  • 2021年2月3日
  • 読了時間: 3分

 コロナウイルスの感染が止まらなくなった年末年始、介護職の皆さんとの連携を模索していました。これまでにも何度か書きましたが、ボクがここ数年、これまでメンタル面の医療との連携がなくて困っていた施設の依頼で月1回、入居している認知症の人たちのところへ往診に行っています。往診と言っても飛行機で2時間ほどかかるところ(あえて場所は伏せます)なので、‥‥非常識ですが。

 休日の朝いちばんに出発、昼過ぎの飛行機で大阪に戻り、妻の食事の買い出しに行くという、今から考えれば「無茶な」往診は、それでも5年ほど続きました(今回のコロナが落ち着いたら、また行き続けながら『地域包括ケア』を目指します)。内科や身体面は近くの先生にお任せし、認知症の精神面だけを担当させていただく「連携」をしていましたので、このような体制が可能だったのです。


 ところが、そこにコロナ禍がやってきて、この1年は往診できなくなりました。大阪からウイルスを持ち込んではいけないので、できる限りリモートで状態を診ながら対応してきました。 

 正月明け、往診していたかの地の施設で感染者が出ました。これだけ市中感染が広がっているから、いつ、どこで感染者が出てもおかしくない状況です。しかしそこで驚いたのは、かの地で身体面の診療を担当していた医療機関がすべて、コロナウイルス感染症への対応ができず、手いっぱいになっているため、診療が受けられなくなってしまっていることがわかりました。

 大阪なら何らかの連携で感染症を診る医療機関につなぐことができますが、かの地の医療体制を考えると、こちらのように行かないようです。医療機関の対応ができないほど限界を超えていることは、遠く離れた大阪からでもわかりました。


 その施設も感染者が出たことを保健所と連絡して、医療の手配や入院先を見つけるべく努力しましたが、待機も多く、行き先が見つかりませんでした。よほどの事態ですから、こちらからリモートで訪問看護や施設の職員と連携して、何かアドバイスを……、と思っていたところ、ある感染制御の先生がかかわってくれて、その患者さんも入院することができたと連絡があり、こちらも胸をなでおろした1月でした。


 「医療もひっ迫しているのだから、入所している人のことは施設で見るように」と言うのは簡単です。でも医療のかかわりが十分ではなく、感染防御に加えて認知症の当事者の感染、その後の病態を介護職が対応していくためには、とてつもない不安と向き合いながら、しかも自分がその立場から逃げない覚悟をもつことが求められます。

 いつも介護力では定評のあるスタッフも、今回は感染の恐怖や医療の支持のない状況下で、よくぞここまで耐えたことを高く評価したいと思います。医者であってもコロナウイルスを怖がっているボクとは大違いです。果敢にウイルスと闘う看護師や医師と同様に、自分の役割から逃げることなく、感染者が無事に入院できるまで、恐怖や不安と向き合ってきた今回の介護職のみなさんの汗と涙を、誰よりも称えてあげたいと思います。

 遠方にいる友人の皆さん、ボクはあなたたちのような仲間を持っていることをこころから誇りに思っています。感染症ではあなたたちの役に立てないかもしれませんが、必要があれば介護職の心理ケアのためにリモートで対応しますからね。




 
 
 

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