ものわすれブログ

コロナ:反撃の時がくる

 ここしばらくの間に新型コロナウイルスに対するワクチン接種のことで毎日を忙しく送っています。うちの診療所ではワクチン接種を行ないませんが(それぞれのクリニックでの接種は個別接種と言います)、地域に貢献できるように、大阪市各区にできる会場に出かけていき、集団接種に協力することにしています。この土曜日には会場で予行演習が始まります。

 日々の診療があるため、これから集団接種のためにずっと時間を割いて、自分のクリニックを閉じるわけにはいきません。うちの場合には水曜午後の休診の時間か、土曜の午後、日曜祭日に出かけることになります。しかしボクは土曜、日曜、祝日も往診に行きますから、ある程度、時間を調整して、できる限りこのコロナウイルスに一矢を報いたいのです。

 さまざまな意見があることでしょう。今でもこのワクチンが本当に正しい選択なのか、それとも性急に事を運んで、とんでもない副反応が起きるのではないかと悩んでいる人もいることを知っています。それでもボクはこのワクチンの可能性に希望をつなぐことにしました。


 ボクは医師であると同時に歯科医師免許を持っていて(医者の前には歯科医でしたから)、われわれ歯科医師が皮下や筋注は経験なくとも、口腔粘膜に麻酔をしてきたことを知っています。アナフィラキシーショックに対する対応も学んできました。今回の歯科の協力は皆さんの力になると確信しています。でも急な話で戸惑う人もいるはずです。薬剤師のみなさんにも、今回は接種の話が出ています。これまで注射の経験がない薬剤師の先生に、事前の準備なく「はい、あなたも医療の担い手だから会場に来て注射に協力しなさい」と言うことの方が失礼な気がします。ワクチンを希釈して注射筒に準備するといった大切な業務は、注射する行為よりも大切な医療です。いずれにしても今回の緊急事態を経験した私たちは、今後、医療関係に属する医師、歯科医師、看護師、薬剤師など、医療系の学部教育の際に、有事のワクチン接種を想定した教育をおこない、法的にもしっかりとした根拠を作らなければならないと思いました。


 今夕、妻がいつも使っている急須を冷蔵庫のドアにぶつけて割りました。ボクは(他人には愛想が良いのですが…)ぶつぶつ文句を言いながら、急須を買いに行くことになりました。マンションから鴨川を渡って東に行くと京都の中心部に近いにもかかわらず、街の雰囲気が庶民的になります。ボクが育った診療所の近くの雰囲気と似ていて愛着があり、そこにあるスーパーマーケットがボクの買い出しの場になっています。

 つい1年半前には夕食が終わった後の買い出し時間には、そのスーパーは「多国籍ワンダーランド」でした。仕事を終えて来るのでしょう。さまざまな国の人々が家族とともに夕食の食材を買いに来るスーパーで出会う人達と片言でやりとりをすると、ボクは世界の連帯を感じて安心できたものでした。

 しかしコロナ禍でそのような外国籍の人びとは消え去りました。今では仕事を終えた日本人の若い夫婦かカップルが連れ添って夕食の買い出しに来ています。今日、彼らを見ていて思いました。今回のワクチンが速やかに高齢者に行きわたり、そしてこれからの世界を生きていくこの若い人たちにも早く安全な世界が広がることを願って、これからボクたちは反撃ののろしを上げます。夕闇の路地の向こうに消えてゆく二人の後姿を見ながら、この若い二人がもし子供を持つ選択をしたとすれば、その新しい命こそ感染症から「守られるべき」存在であり、私たちは彼らを「守るべき存在」だと確信しました。

 

 かつてこのスーパーで何度か出会って声をかけあった人々が国にもどってコロナと闘っているのなら、世界中の彼らと共に反撃ののろしを上げたいと思います。コロナに打ち勝った証とは世界中がコロナ禍の恐怖から解放された証でなければならないはず。スーパーで出会った彼らの笑顔を思い出しながら、ボクはこの小さな国の小さな自分でも、世界の次世代に残す「希望と光」の一助になりたいと願いました。





 

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