ものわすれブログ

コロナ禍 人生設計し直し

 これまでの2か月、ブログを更新しなかったので「何かあったのか」と心配してくださった方がおられました。「松本、引退したのか」、「ブログのネタがなくなったか」と思った人もおられるかも。

 実は8月のお盆のころから12冊目の本を書いていました。

 先週に書き上げましたので、木曜日に原稿を出版社に送り終えました。内容は、「このコロナ禍のような精神的に追い詰められた時だからこそ、認知症当事者に対する精神療法(カウンセリング)には効果があるのではないかを問う」著作です。

 きたる2021年は松本診療所の開設70周年、ボクが父の後を継いで認知症を中心とした精神科外来を始めてから30年、父が亡くなって30年、母を見送って10年、さまざまな面で節目となる年です。この年の記念の意味も込めて出版を決めました。


 さて、コロナウイルスへの恐怖が続いている今日、世間では少し危機感が緩んできたような印象を持ちますが、この8か月ほどの間にボクの人生は大きく変わりました。読者のみなさんも例外ではないでしょうね。

 これまでボクは日々の認知症臨床、(大学院での)講義や講演、そして執筆を3本の柱にしてきました。そのことはこのブログでも何度か書いてきたとおりです。それが今回のコロナで全くバランスを崩しました。患者さんの事では札幌や川崎への往診がずっと中断しています。大学院講義は幸いなことに少人数講義でしたから、対面でおこなうことができました。

 ところが大打撃を受けたのが講演です。自分の気持ちを講演で吐露することで、これまで介護者としての自分が破綻せず保ててきたのに、行政や社協に限らず2月の認知症ケア専門士への講演以降、ほぼすべての講演が中止され、現在に至っています。

 やっと9月ごろからオンラインシンポジウム、学会での基調講演などが無観客、オンラインで開催されるようになりましたが、会場の人びとからの反応が見えないなか、これまでと同じように講演するのが難しいとわかってきました。昨日のNHKフォーラムでもオンライン配信の具合がわからず、スタッフのみなさまやアナウンサーさんにも迷惑をかけて申し訳なく思っています。もう少しすれば慣れるかもしれませんが‥‥。

 来年度からオンラインでも対面でも講演会が開けるように、切に希望しています。今なら講演依頼はいくらでもお引き受けできますので、診療所に電話いただければお買い得です(笑)。

 こうしてこれまでの環境が一変したストレスは大きいと思いました。自分の中で「これからの役割」と考えてきたことが、これほど大きく様変わりするとは。

 大げさではなく、人生の設計のし直しが必要だと思い直しています。


 しかしボクのこのような転機とは比べ物にならないほどの人生の激変があった人に、メッセージがあります。このメッセージは決して介護職や医療職だけが対象ではありません。すべての人に向けて、新しい価値観やスタンダードができるときに、これまでのやり方や世界のルールが一変します。それは意識しているよりもずっとわれわれ誰にとってもストレスフルなものである、ということを、みんなで共有しましょう。

 激変した職場やご自身の立場に戸惑いながら、それでもまだ暗闇の出口が見えない現状で、こころに破綻が起きないように。少しずつ沈殿した不安や不都合が、ある日、私たちのこころに襲いかかってくるかもしれません。

 鬱になる人もいるでしょう。世界に希望が無くなったと感じる人もいるかもしれません。

 そんな時、ぜひ、思い出してください。

 新しい状況に慣れず戸惑っているのはあなただけではありません。ボクもそうです。平静を装っていてもこころは不安でいっぱい‥‥。

 それでも明日に向かってもがき続けているあなたがいるなら、その「もがいているあなたの姿」こそ、勇気ある行動であることを忘れないでください。どのような姿に世界が変わろうとも、それに対応しようと努力するあなたの姿がある限り、希望の光は消えません。 

 


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