- 2017年10月30日
ゆれる気持ち(6)ボクも研究者?
ボクはこれまでず~っと開業医と大学教員(福祉系)を続けてきました。精神科に入局した時から臨床医だけでなく、できる限り研究をする姿勢を取り続けてきたと思います。父と母は「(自分たちのような)開業医も地域の実践者として実りある人生だけど、自分が成り得なかった研究者としての道も無くすことなく続けていってほしい」と言っていました。ボクもそれまで知らなかったことを知ること=研究という堅いイメージではなく、知らないことを知る楽しさは小学生のころから持っていたようです。夏休みの自由研究や研究発表会というと、まるで学園祭の準備をしているような「楽しさ」があって、楽しかった思い出がいっぱいあります。ちなみに自分の中で最も熱中したのは、小学6年生の「ウナギの生態」の研究だったかな。 「お前は私たちの診療所のことは忘れて、大学人として生きなさい。」と、両親は言いました。開業医の息子を縛り付けたくないと両親は考えたのかもしれません。でもね、ボクはそんな両親が培ってきた「開業医」という立場を捨て、生涯を研究者として人生を送ることを選びませんでした。両親の日々の医療には派手
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- 2017年10月14日
ゆれる気持ち(5)ここは揺れへんで
いつも医者としての自分が揺れていることを、ここでは書いてきましたが、今日は「揺れないで」やって来たところについて書きます。 先日、遠方の往診に出かけた帰りの飛行機の中で、改めて自分の気持ちを考える時間がありました。「遠方まで飛行機で往診している」というのは、決してどの患者さんにもしてあげられることではありませんし、地域包括ケアを考えた時、いずれはその地域の医療につないであげることは明らかです。しかし「初めて」医療とがっちり組み合う介護の現場と連携して、「医介連携(介護と医療の連携)はこんなにも効果がある」ということを、この先のボクの研究テーマとしてもやっていこうと考え、創立65周年の記念も兼ねて、これまで数年、妻の介護のために全く手つかずにいた臨床現場での研究に着手しました。 この25年、研究者としてのテーマは、➀認知症の人と向かい合う家族のこころ、家族支援 ②認知症を主とした高齢者虐待を家族支援の視点から防ぐこと ③家族のための心理教育という心理療法 ④介護職の燃えつきを防ぐためのストレスケア これらのテーマを5~10年かけて研究者としてもやっ
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- 2017年10月5日
ゆれる気持ち(4)初診の待ち時間
開業以来悩んでいることがあります。それは初診の受診をしていただくまでの「待ち時間」のことです。平成4年に始めてからこれまでの25年間、ある時期を除いてずっと3か月程度、受診までに待ってもらわなければなりません。ボクも精神科医ですからメンタル面の混乱が起きたときには誰だって「今、ここで診てョ」って思うのは当たり前とわかっています。 ボクが妻の混乱で困り切った時にも八尾こころのホスピタルの先輩はすぐに診察してくれて大変助かりました。そんな恩恵を受けているのに、来院する人の診察だけ時間がかかっても良いのか…、これはボクの長年の悩みでもあります。 月に初診として紹介されてくる患者さんが30人、これまでの25年でいつとなく増え続けた患者さんの登録が1000人、毎月800人以上の人々の診療をしながら月に30人ずつ患者さんが増え、亡くなる場合や通院中断(あんな医者、あかんわ!って)を合わせて10人、足し引き20人ずつ増えてこられる患者さんがおられます。 さて、どうしたものかと代診の先生に来てもらったこともあります。母校の医局から歩いて15分のところにあるうちの
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