2017年4月から朝日新聞デジタル版・アピタルで

「認知症と生きるには」というコラムを執筆中です。

http://www.asahi.com/apital/column/ninchisyou/

​朝日新聞(デジタル版)お知らせ

ブログ
Blogs

日々のこと(7)別れること

数年前から始まったように感じる急激な天候変化は、夏の突然の豪雨、冬の大雪などこれまで私たちが経験したことがないほどの環境変化をもたらしています。骨折や慢性関節リウマチなど、体の痛みや硬さなども天候変化の影響を受けやすいものですが、認知症の人の状態も脳の変化がある程度進んでいる人の場合には思ったよりも影響を受けやすいものです。低気圧が近づいてくるときや前日と比べて気温の差が大きかった時など、いつも注意して診療するようにしているほどです。でも、ボクがあまりにも天気の話ばかりするのは自分が自律神経の調整をする際にそれらの条件がとても大切であるから、いつの間にか身に着いたスキルなのかもしれません。 ここ数年の天候変化の激しさは、何年もともに人生を過ごして診療所に来てくれた多くの人を奪っていきました。この25年間の診療の中でも、昨年秋から今年にかけての変化で、多くの認知症の人が脳血管障がいも起こして亡くなりました。医師としてよりも、共に人生を送る仲間を失った気がします。 診療所は今でこそ「ものわすれクリニック」だけにしていますが、かつて母が内科医としてボクが精神科医として終末期の往診による「エンドオブライフ(終末期)の看取りもしていました。今では在宅療養支援診療所の先生にお願いしていますが、年明けから何人もの長年のお付き合いがある家族から連絡をいただきました。「ありがとうございました。母は12月30日に亡くなりました。」という電話、そしてわざわざ挨拶に来てくれる家族も。 かつて認知症の人を見送った介護家族(遺族)を対象に、「あなたが介護で後悔していることは何ですか」と問いを投げかけた調査

日々のこと(6)ギリギリ、セーフ

2月1日は午前4時の起床でした。関西空港から東京へ、その後は新宿のホテルで1日行われる、精神保健指定医の更新研修を受けてきました。ボクは精神科医5年に1度、この厚労省から「預かった」資格をもとに精神的な課題を持つ病気の人や家族の人権を守る研修を受けます。 日本精神神経学会や日本老年精神医学会からも指導医・専門医をいただきましたが、精神保健指定医とは専門医としての「資格」よりも社会に対して精神科医が「公務員」的な立場で人権擁護すること、治療のためその人の拘束などを判断をする役割を持っています。厚生労働省の「拘束ゼロ」の目標のもと、精神保健指定医は患者さんの人権を守り保護する役割があります。 その指定医に初めてなったのが20年前、精神科医として5年目のことでした。それから今回で4回目の更新をしました。そして今回です。各地で更新研修が行われますが、昨年は妻の介護もあってスケジュールが合わなくて、結局受けることができたのは東京の研修会でした。 介護を始めた2年半前と比べると妻の不安がやや安定したと思ったため、昨年12月初めに「指定医の研修に東京まで行き、夜には帰る。」と告げました。妻も歯科医師、研修には理解があると思ったからです。しかしその判断は早過ぎたようで妻の不安が昂じてしまいました。 たとえ北海道や沖縄の日帰り講演でも、普段なら何げない顔で「ちょっと講演に出て夕食時には帰る」と言うのに、あえて事実をそのまま口にしたために困難を自ら招いてしまいました。 関西空港から羽田に降り立ったのち新宿まで行き、丸1日(夕方5時半前)までの研修を終、再び羽田から大阪(伊丹空港)まで戻れたのは奇跡